Johnson Lifelog | Cornell MBA 留学記

コーネル大学ジョンソン経営大学院にてMBA留学中。コーネルMBAの合格体験記、留学生活の紹介に加え、ホスピタリティ、デザイン関連のトピックを扱います。

『クリエイティブ・マインドセット』とMBAでの学び

春学期の前半の半分が終わり、数日間のブレイクとなったので、Immersionでも少し学んだデザイン思考(Design Thinking)について、以下書籍を読んでみました。

 

ハイライト箇所

※キーワードと太線処理は私が勝手に書いています

 

人間中心のデザイン

私たちが思うに、成功するイノベーションは、技術的要因とビジネス的要因のバランスを取るとともに、人間中心のデザインによる調査の要素を何かしら取り入れている。顧客の真のニーズや欲求を考慮しながら、技術的実現性、経済的実現性、人間にとっての有用性の交わる点を模索することこそ、IDEOやdスクールで「デザイン思考」と呼ばれている方法論の一部であり、創造性やイノベーションを生み出す私たちのプロセスなのだ。

Diverge/ Converge, iterative

もちろん、 新しいアイデアに命を吹き込む万能な方法論などないが、成功するプログラムはたいてい、何らかの形で、デザイン主導のイノベーションの「着想」「統合」「アイデア創造/実験」「実現」という4つの段階を含んでいる。私たちの経験からいえば、イノベーションや新しいアイデアは、プロセスが完了するまでに何度も反復を繰り返すこともあるのだ。

分析思考 vs デザイン思考

分析能力の高い人々は、何らかの問題や、「朝のコーヒー体験」のような課題を提示されると、一瞬で頭を問題解決モードに切り替えてしまう傾向にある。一目散にゴール・ラインまで走っていき、そして、自分の答えを弁護しはじめるのだ。(中略)彼のような優秀な分析的思考の持ち主にとって、“未解決” の問題を宙ぶらりんのままにしておくのは、気持ちが悪いものらしい。とにかく答えを出して前に進もうとする。唯一の正解がある型どおりの問題解決の状況では、彼のやり方はとても効率的だ。そしてそれが正しいこともある。しかし、創造的思考の持ち主は、唯一の正解がない問題に直面したとき、焦って判断を下そうとはしない。色々な解決策がありうることを念頭に置き、まずは大きく網を張ろうとする。いくつかのアプローチの候補を挙げたあと、もっとも実行価値の高いアイデアへと候補を絞っていくわけだ。

プロトタイピング

プロジェクトで目標に向かって前進するベストの方法は何だろう? 私たちの経験からいえば、プロトタイプ、つまり早い段階で実際に動くモデルを作ることだ。

 

脱線

本書では、デザイン思考の具体的なテクニックや、クリエイティブになるための「斬新なアイデアを思いつく人間の生来の能力の呼び起こし方」「アイデアを行動に変える自信」等の思考法や実践法について詳しく書かれていますが、個人的には問題解決のプロセスにおいて、Diverge(分岐・発散させること)とConverge(収束させること)をいかに組み合わせるか、といった部分に興味を持ちました。

というのも、ビジネススクールにて「いかに論理的に課題を分析して解決策を導くか」といったConverge/ Analyzeの視点を多く学ぶ中で、ある程度フレームワークが確立された中では、アウトプットが、インプットの質と量に大きく左右されてる印象を持ち、Convergeする前段階としての、Divergeしていく(インプットを得ていく)視点や方法論を学びたいと考えたからです。

また、ケースコンペ等を通じて、Convergeしていくだけの問題解決のコモディティ化を感じ(山口周氏の『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』では、論理的・理性的な情報処理スキルの方法論としての限界、として述べられています)ユニークな解決策、イノベーションにつながるクリエイティブな視点をうまく組み合わせたいとも考えました。

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上の図は、インプットされた問題に対してConvergeすることで解決策を求めるフレームワーク的な分析思考【①】と、DivergeとConvergeの反復により解決策を求めるデザイン思考【②】を、個人的に比較してみたイメージになります。

解決すべき課題や、問題(あるいはその兆候)に直面した際、ひとつ考えられる解決先の導き方としては、図の【①】の様に、そのまま整理分類・分析する、というもの。その際、フレームワークというのは以下の点において優れていると思います。

  • 情報をMECE(モレなくダブリなく)に/体系的に整理できる
  • 他との比較が可能な形で整理できる
  • 早く効率よく解決策の検討ができる

また、過去から長期間に渡って活用されてきたフレームワークというのはかなり完成度が高く、体系化されているため、【①】のプロセスにおけるアウトプットの質は、フレームワーク自体ではなく、インプットの量や質に左右されることが多く、さらに言えば、不完全な情報をただフレームワークに当てはめるだけでは、対処療法的(バンドエイド的)な解決策にたどりつく危険性もあります。

一方、【②】のデザイン思考(Design Thinking)では、人間のニーズへの深い観察をスタートに、DivergeとConvergeを繰り返しながら、有用かつ経済的・技術的に実現可能な解決策にたどり着くというプロセスを経るため、表面的な課題や兆候の裏にある、より根源的なニーズへの解決策を目指します。

本書にも、インタビュー等、ニーズへの深い観察の方法論に触れられていますが、より実践的・具体的なものについてはThe Field Guide to Human-Centered Designに記載があります。また、こちらでは、実際のサービスデザインのプロセスについてのビデオも公開されています。

また、プロトタイプについては、ラフなスケッチから実用最小限の製品(Minimum Viable Product: MVP、この場合の実用とはユーザーからのフィードバックを得ること)とし、すばやく、コストをかけず、複数同時に進めることで、時間制約の中で実行価値の高いアイデアを模索する事ができます。

これらの【①】と【②】を課題のタイプや状況にあわせてうまく組み合わせていくことが重要なのだと感じました。